2006.12.吉日「青空」(はるたか)

2006年12月4日銀座八丁目、並木通りにOPENした寿司の新鋭「青空」(はるたか)。ご主人の高橋青空氏は、銀座、いや、日本屈指の名店「数寄屋橋 次郎」で修行に励み満を持して独立を果たした業界のサラブレット。

美味い物には常に前向きで、貪欲に接していこうと思う私が、 昨年の“ベスト寿司”を贈りたいお店である。

どんな名人でも最初のゲストは手が震え、 緊張するものだ。

私は名人でないが、独立して自分の店を構えた時、最初のゲストに出すドリンクを作る手が震えたものである。初々しいオープンするときの緊張を自分の時と重ね思い出し、「一緒に育っていきたい!」 そう感じたご主人。

並木通りから入る期待感。お店のアプローチから広がる檜のカウンター。若いながらも凛々しさを放つご主人の存在感。若輩者の私が、初めて次郎で寿司を食した時とはまた違う、凛とした緊張感がそこにはあった。

日本酒をやりながら、美しい陶板の上に並べられた刺身をつまむ。

際立つネタの良さに期待が膨らむ。

待ちに待った握りをは順不同だが平目 ・墨烏賊 ・煮蛤 ・小柱・サヨリ・コハダ ・イクラ・鯖 ・鯵 ・赤身 ・中トロ ・トロ ・雲丹 ・車えび。なかでも軍艦にして供される子柱は、驚くほど香華やかな海苔の香りにシコシコとした貝柱の繊維質と磯の香 ――― 絶品である。

サヨリを口に運んだときの衝撃は今でも忘れぬ感動だ。プリンとした表面から口に広がる旨味。ほどけるシャリの具合や温度。幸い?デジカメに画像を残してきたため、何度か思い出しては写真を眺め生唾を飲んでいる。

この握り、「どこかで?」やはり握りも継承されていくものなのか。師匠の店を連想させる。ゆっくりと腰を据えて酒を楽しみ、リラックスして名店を楽しむことが出来る貴重なお店。最低、月に一度は足を運び、何年した時にオープン当初を振り返り、「あの時はね」と比べることを笑い話と出来る、落ち着き貫禄を見せる青空氏と会話している光景が待ちどうしい。

※雑誌「食楽」グルサロ ちゅんさん原稿より

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